レポート


2009年10月12日 札幌円山球場  決勝

北照vs札幌南

2009年秋の大会 第62回秋季北海道高校野球大会 決勝

北照ナイン歓喜の瞬間


北照10年ぶりの全道制覇!!

 10年ぶりに全道を制した北照ナイン。エース・又野知弥(2年)はその輪にライトからやや遅れて加わった。「チームを信じていた。うれしいです」と笑顔。その右手中指には厚く包帯が巻かれていた。
大会前から不安があった右手指先。10日の準決勝で中指のヒビが大きくなった。雨天順延となった11日も軽いキャッチボール程度にとどめたが、決勝前の投球練習で悪化してしまった。治療で予定より12分遅れて始まったが、後攻だったため1回表のマウンドに立たなければならなかった。
自信のあるコントロールが定まらず、3つの四死球などで2点を献上。相手が勢いに乗る札幌南だけに、嫌な流れになりつつあった。

しかしエース負傷の非常事態に打線が発奮する。その裏、先頭の大野雅也(1年)が左中間を破る二塁打で出塁すると、3番西田明央(2年)の内野ゴロの間に生還し1点差。
さらに4番を打つ又野自身が三塁打を放つと、5番新谷祐基(2年)のタイムリーで同点に追いついた。この後もチャンスを広げ、相手の失策などで勝ち越しに成功。立ち上がりのビハインドをすぐに跳ね返した。

 しかし又野は2回以降も苦しい投球が続き、取られて取ってのどちらに流れが転ぶともわからない展開。大会前から『又野と心中』と心に決めていた河上敬也監督は、リードを広げた5回についに決断。ライトを守る左腕の千葉竜輝をマウンドに送った。小樽支部予選では登板があるものの、全道では1回もマウンドに立っていない投手の起用。「勝負だと思った」と河上監督は賭けに出た心境を話した。

 その千葉が期待に応える。5回表を3者凡退に切り、流れをグッと引き寄せた。
 「初回の又野を見て、出番が来るかなと思っていた。緊張はしなかった」と振り返った千葉。その後も緩いカーブとスライダーを巧みに操り、 札幌南 打線から凡打の山を築いた千葉。

 この千葉の好投が呼んだ流れが試合を決めることになる。6回、2死走者なしから打線が繋がり5点を追加。全校応援とOBで一杯になった 札幌南 のスタンドを意気消沈させた。

 春夏決勝で敗れ、先輩が涙を飲んだ円山球場で歓喜につつまれたナイン。
「決勝で負け続けて、私が監督ではもう優勝できないのかなと自問自答したこともあった」と話した河上監督は、コーチ陣とうれし涙を流した。
10年ぶりの甲子園出場を確実にした北照。次の舞台は11月の明治神宮大会だ。


【札幌南】

 全道初優勝は叶わなかったが、ナインに涙はなかった。
 北照エース・又野の制球難を突き、1回に幸先よく2点を挙げた。 駒大苫小牧 戦同様の先制パンチ。しかし、今大会5試合目となった先発の原口紘太朗(2年)が北照打線に捕まった。不運だったのは同点に追いつかれた後の、レフト・高石周門(2年)の落球。

 攻撃でも、準決勝で決まっていたバントのミスが相次いだ。「ミスが出ては勝てない」と池田賢監督はここまで少なかったミスを嘆いた。

 それでも「全道で大きな経験ができた。自信にできる部分もあるし、痛い思いも味わった」と今大会を振り返った池田監督。
 初の選抜は厳しくなったが、ナインは胸を張って円山球場を後にした。

(文=松倉雄太


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